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遊休資産 廃校跡地の有効利活用
株式会社GARDE

最近ニュースでも地方発信での新しい取り組みが紹介される事が増えて参りました。今はまだまだ、中心都市圏と地方の格差は顕著で、人口減少の問題から見ても、地方が衰退している現実があります。その顕著な象徴が小中高等学校の廃校です。今回は、こういった廃校などを有効活用する事による地方発信の新しい取り組みを考えて、地方の活性化と今後の可能性を探りたいと考えております。一時的な活性化ではなく、中長期的に将来にまで持続していく事、SDGsへの取り組みも並行して考えたいと思います。私は、廃校跡地の有効利活用のポイントは、『人の流入』と『人口の増加』だと考えております。『人の流入』に関しては、ここに勤務するため、観光のため、通学でくるため、、、といった仕組みを構築出来れば良いのです。観光のため以外は、ほぼ日本人となります。『人口の増加』に関しては、雇用が増える、留学生が来る、税金の優遇がある、、、といった仕組みを構築出来れば良いのです。こういった視点で考えていく事が、廃校跡地の有効利活用のキーワードとなり、地方の過疎化を解決する事になるのです。

目次

    廃校活用の背景




    地方を中心に、毎年500校前後の公立学校が廃校になり、H14年からH29年までの15年間で7,600校程度の小・中・高等学校が廃校になっており、その殆どが手つかずの状態で放置されております。学校は地域にとって貴重な財産であるのにも関わらず、又、まだまだ建築としては活用が出来るのに、リソースが生み出せず取り残されてしまっているのが現実です。『地域の活性化』という視点において、全国各地の事例を交えながら有効的な利活用を提案していきたいと考えております。それは、一時的な活性化ではなく、中長期的に将来にまで持続していく事が重要になります。そういう意味で、今の社会/経済活動において、SDGsへの取り組みはMUSTとなりますのでその辺りも念頭に考えて行きたいと思います。

    廃校跡地の再利用例




    廃校跡地の再利用例として、以下のように纏めました。あくまで再利用の例となります。
    ① 廃校の特徴としては、どういった特徴があげられるのか?まずは、主に地方都市であり、住宅地にあるという事で、過疎化の影響が原因です。そして、十分な位の広さがあって、校舎や体育館、プールなどの建物がある、また、その建物にはインフラがあり、広いグラウンドがあるという特徴です。まずは、これらの特色を念頭においておきましょう。
    ② では、どういった方々が再利用に手を上げて頂けているか、それが左側にありますグラフになります。これは文部科学省から発表されている廃校施設活用事例集を参考にさせて頂いておりますので、これが全てではないですが、表記のようになっております。地方公共団体様が市民の方々の生活に密着した機能での再利用が24%、有志によるNPO団体が手を上げて様々な方々とのネットワークなどを通じて再利用しているケースが30%、そして、大半の46%を占めているのが民間の一般企業の方で、何らかの事業で再利用されている事になります。その中身をみてみますと、殆どのケースが地元の企業様であります。そういう意味合いでも地元企業との繋がりや関わりは、大きなポイントとなりそうです。
    ③ 次に、どういった施設として再生されているかという話ですが、体験施設、学校関連、製造関連、芸術・文化関連、役所関連、健康・福祉関連、宿泊、その他という順序になります。体験施設としては、宿泊施設を併設したものが多いのが特徴です。芸術・文化関連としては、東京や京都、福岡等の大都市の学校跡地で再利用されているのが目立ちます。製造関連としては、キノコや塩、チョウザメの養殖生産拠点、今注目されているドローン技術の研究所やバイオマス発電所として活用されている例もあります。健康・福祉関連としては、有料老人ホームや障害者福祉施設が多く5例あります。学校関連としては、私立学校が13例、専門学校が12例、大学のサテライトが4例あります。そして全般的に見てみますと、地域住民の生活に密着した充実度を上げるための目的が一番にあり、それに付随して旅行者など人を集める目的の機能、もう少し付け加えると、人口を増やすための目的の機能を考えているのが多く見受けられます。その他をもう少し御紹介致します。オフィス関連が9例でサテライトオフィスやコワーキングオフィス、コールセンターとして再生されております。非常に社会のニーズにも沿っており有効的と言えるかもしれません。住宅関連や観光関連、娯楽施設やSHOP関連は以外と少ないです。飲食関連も意外と少なく、これは施設が広すぎて場所を持て余してしまう事による結果だと言えます。他の機能と複合的に活用するという点では、飲食は良いと思います。

    8つの業種別活用方法




    学校跡地の再利用例の業種や数字のデータから、私が提案する再利用の業種は、この表の通り、8つと纏めました。

    ① 『グリーンエネルギー』:循環型社会の実現に向けた注目の分野です。例えば、余剰電力を活用して水素を生成して、新たなエネルギーとして活用する事が出来ます。
    ② 『燃料』:今注目されているのは水素燃料、バイオ燃料に関する施設などです。水素燃料は、代替燃料として国を挙げて注目されている分野で、バイオ燃料は、今注目されているのは、プランクトンや藻類からアルコールを採取する技術で、一般的になれば将来的に有望な燃料となります。
    ③ 『製造業』:観光客を受け入れるためのコンテンツになると同時に、地域住民の雇用にも繋がる業態です。
    地場の伝統産業も面白いと考えております。それぞれの地域には必ず長く培われた産業があるはずです。そうした伝統産業を集積すれば魅力的な施設に変貌するわけです。
    ④ 『スポーツ・レジャー』:オリンピック景気もあり注目されている分野ですが業界としては傷んでいる業態です。スケートボードやBMXなど、新たな分野の可能性も見えて来ましたし、アウトドアメーカーの新規事情参入の事例も出てきております。
    ⑤ 『一次産業』:人手不足、担い手不足が大きな問題であるのと同時に、非常に生産性が低い分野になりますので、工業化に努める流れが注目されます。
    ⑥ 『医療・ケア・シニア』:市民生活に直結したWell-Beingの分野となります。重要なのは、そういった取り組みを目的に事業をしたいという企業が参入する事です。事業機会を生み出すと同時に、そこに雇用も生まれ、地方活性の様々な相乗効果が得られるわけです。
    ⑦ 『学校』:学校法人の取り組みだけでなく、企業も参画した幅広い分野です。
    ⑧ 『ロジスティック』:Maasに関係性の深い分野で、様々な交通サービスやモビリティサービスです。

    お気づきかもしれませんが、こうした8つの業種を取り組む事によって、結果的にSDGsを取り組む事に繋がり、今の社会問題、経済問題を解決していく試みになっていくという事になります。また、それぞれの業種はそれぞれ単一に完結するだけでなく、相互に少なからず関係性があります。

    水素燃料に関しては、政府が2030年までに国内に1000か所の水素ステーションを開設すると宣言しており、既に民間企業もその流れを受け、事業を展開し始めております。余談な話で恐縮ですが、今私はここに着目して積極的に取り組んでいきたいと考えております。水素ステーションの開設と共に、それと親和性の高い分野を掛け合わせて事業に出来ないかと考えておりいくつか検討しているものがあります。事業者様で御興味のある方がいらっしゃいましたら、直接御一報頂ければと思います。

    SDGsの社会実現に向けて




    私が提案しております8つの想定活用分野につきまして、もう少し詳しく御説明させて頂きます。真ん中にあります先程説明致しました8つの分野で、右側にあるような活用基準を設けてみました。地域の課題を解決する事にもつながる基準となっております。
    それは、医療・ケア・シニア関連で、地方の高齢化対策に繋がります。エネルギーや燃料関連では、最先端技術産業の誘致やスタートアップ企業の育成、一次産業の活性化を基準とする事で、結果として人が流入して人口が増加する事で地域が潤います。この活用基準を定めさせて頂いた理由は、基準を設けないと本当に学校跡地有効活用になっているのか、地方再生に繋がっているのか判断が出来ないので定めております。この活用基準を一定レベル満たされていれば、イコール、左側にあるように、スマートシティやスーパーシティ、コンパクトシティ実現への取り組みを行なっている事になります。内閣府は、令和3年度のスマートシティ関連事業として、97の市町村から119の提案を受けて、62の市町村の74の事業に対して、事業認定致しました。具体的な事業の中身は、各市町村で様々なのですが、

    未来技術社会実装事業が9
    データ連携促進型スマートシティ事業が9
    地域新Maas創出推進事業が14
    日本版Maas推進支援事業が12
    国土交通省スマートシティモデルPJTが30

    となっております。これは、一刻も早い社会実装を目指し、官民連携のプラットフォームの枠組のもとで、関係省庁が連携して支援する事になっております。コンパクトシティに関しては、急速な人口減少や高齢化に直面した地域産業の停滞で活力が低下や住宅や店舗の郊外立地が進み、市街地が拡散して居住者の生活を支えるサービスの提供が困難になるという事で、都市の部分的な問題への対処療法ではなく、都市全体の観点から取り組みを協力に推進する必要があり、近接した効率的で持続可能な都市を目指す事で、文字通り都市をコンパクトにするという事になります。

    行く先には、自立/循環社会の実現、SDGsの社会実現が現実的な形となっていると確信しております。課題は多方面でありますが、出来る事から着実に一つ一つ取り組んで行こうという世論の流れになっており、本気で、SDGsの達成、カーボンニュートラルの達成を目指さなくてはならなくなりました。

    その辺りを念頭におきながら、今後、皆様が取り組まれる事業、又は既に取り組み始めている事業の参考になればと思います。私は、株式会社GARDEに所属しながら、NPO特定非営利活動法人 青山デザインフォーラムにも所属しておりまして、皆様の取り組まれる事業において最大効果を生む企画構築と、その実現のためのマッチングサポートを行なっております。御興味ございましたら、お気軽にお問合せ下さいませ。

    この記事の著者

    株式会社GARDE 石川渡
    株式会社GARDE
    石川渡
    企画開発事業部、シニアディレクター、ファーストクラスアーキテクト
    イタリアでトリノ冬季オリンピックにおける業務に従事後、GARDEに入社。
    2015年から、デベロッパー様のレジデンスやホテル開発全般におけるコンサルティング、企画、マッチング全般で、主に付加価値を提供する業務をメインに活動しています。
    現在国内・海外のプロジェクトの川上から企画提案する企画開発事業部の統括部長。
    企画開発事業部、シニアディレクター、ファーストクラスアーキテクト
    イタリアでトリノ冬季オリンピックにおける業務に従事後、GARDEに入社。
    2015年から、デベロッパー様のレジデンスやホテル開発全般におけるコンサルティング、企画、マッチング全般で、主に付加価値を提供する業務をメインに活動しています。
    現在国内・海外のプロジェクトの川上から企画提案する企画開発事業部の統括部長。
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