従来、大型発電所からの一方通行で供給されてきた電力は、脱炭素の流れを受けて急激に電力の分散化が進んでいます。一方、太陽光発電や風力発電といった再生可能エネルギーは、天候に左右される電源であり、分散電源を含む再生可能エネルギーの最大化及び脱炭素の実現には、「電源・発電」、「調整力」、「エネルギーマネジメントシステム」の最適化が不可欠となっています。
伊藤忠商事では、国内外の有力パートナーと共に、分散電源の普及に向けて、これら「電源・発電」、「調整力」、「エネルギーマネジメントシステム」を3つの軸として、バリューチェーンの構築・深化を進めています。
オンサイトPPA・オフサイトPPAによる分散「電源・発電」の拡大
伊藤忠商事では、スーパーマーケットや倉庫等の商業施設を中心にGXソリューション提案及び屋根を活用したオンサイトPPA事業を展開する「株式会社アイ・グリッド・ソリューションズ」、及び郊外の遊休地を活用したオフサイトPPA事業を手掛ける「株式会社クリーンエナジーコネクト」とそれぞれ資本業務提携を行い、当社のIPP開発知見、ビジネスネットワーク及び関連資材トレードの強みを活かし、両社と共に分散電源事業を推進しています。
アイ・グリッド・ソリューションズ子会社の「株式会社VPP Japan」は約450施設(合計 約100MW)に対し初期投資ゼロの太陽光発電の設置および長期安定単価にて再エネ供給を行っており、オンサイトPPA分野では国内トッププレーヤーとしての地位を確立しています。
一方のクリーンエナジーコネクト社も自社設備では太陽光発電の設置が難しい需要家に対し、オフサイトPPAによる再生可能エネルギー供給提案を行い、環境先進企業を中心に供給容量を拡大させています。
蓄電システムによる「調整力」とAIを活用した「エネルギーマネジメントシステム」
「調整力」として活用される蓄電システム分野では、家庭向け蓄電システムSmart Starシリーズを「株式会社NFブロッサムテクノロジーズ」と共に開発・販売、その設置台数は累計5万台を突破しました。設置された蓄電システムには、英国「モイクサ」社のAI「グリッドシェア」が各家庭内の生活パターンを学習、AIが予測する翌日の電気使用量や翌日の天気予報に基づき充放電を行うなど、最適な「エネルギーマネジメントシステム」を提供しています。
産業用蓄電システムとして、EV二次利用電池を活用した「Blue storage」も開発、EV分野にもその取り組みを広げています。また、よりサステナブルなバリューチェーン構築に向け、電池部材のトレーディングの知見を活かした電池部材のリサイクルにも取り組んでいます。
加えて、蓄電システムの今後の技術革新を見据え、次世代電池として注目される半固体電池の研究・開発を行う米国「24M Technologies」社との資本業務提携、同社の技術ライセンス先であるノルウェー「FREYR Battery」社とのリチウムイオン電池用途の材料に関する包括供給基本契約を締結するなど、資材安定供給においても蓄電システムビジネスの更なる成長に貢献していきます。
当社は、今後とも、時代の流れに合わせた各分野に対応するサービスの開発・深化を進め、それぞれの機能を幅広いバリューチェーンとして連携させることで、更なる脱炭素社会実現に向けたクリーンな電力を幅広く効率的に普及させていくソリューションを提供していきます。
この記事の著者
伊藤忠商事株式会社
次世代エネルギービジネス部長 村瀬 博章
1994年 伊藤忠商事入社。
1997年より リチウムイオン電池製造設備ビジネスを皮切りに 原料・部材、電池製造事業
(海外出資先への出向)、用途開発からリユース、リサイクルビジネスの開発に携わる。
2020年より現職。再エネ発電事業を含めた分散電源事業の開発を進める。
1994年 伊藤忠商事入社。
1997年より リチウムイオン電池製造設備ビジネスを皮切りに 原料・部材、電池製造事業
(海外出資先への出向)、用途開発からリユース、リサイクルビジネスの開発に携わる。
2020年より現職。再エネ発電事業を含めた分散電源事業の開発を進める。
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