八丈町では、八丈町民憲章を基に、「住民が主役の町」、「島を生かす町」、「歴史と文化を生かす町」、「クリーンアイランドを目指す町」の4つの柱をまちづくりの基本方向として掲げ、豊かな地域社会の実現を目指すため、「持続可能な開発目標」の考え方を取り入れています。
八丈島の概要
「八丈島ってどこにあるの?」とよく聞かれますが、ここにあります(下図参照)。
東京の南方海上286kmに位置し、面積69.11㎢のひょうたん型をした島です。飛行機では、羽田空港を離陸したと思ったらすぐに着陸態勢に入り、あっという間に到着します。船では、東京の大都会の夜景を眺めながら出航し、翌朝には別世界に辿り着きます。
産業は農業(花き観葉植物栽培)と沿岸漁業を基盤としています。商工では焼酎造りやくさや加工、伝統的工芸品の本場黄八丈などのほか、各種の観光関連サービス業が中心となっています。
八丈島の位置
離島初の地熱発電所
八丈島では、自然の営みがもたらす再生可能エネルギーの活用に従来から取り組んできました。1999年、離島では初めての地熱発電所の運転が開始されました。約20年間稼働をし、電力需要に合わせて既存のディーゼル発電機を追加運転させていました。
離島では、ディーゼルエンジンなどの内燃機関を用いて発電機を回転させる独立系統の内燃力発電所を設置している、もしくは本土や発電所を持つ周辺離島から海底ケーブル等で送電をしている島が多くあります。本土との距離が離れていることや需要規模が小さいことから、燃料を島外から移入するにはコストがかかり、発電コストは本土に比べて高くなります。燃料コストが高い、遠方から輸送するため災害時や非常時における安定供給に対して不安がある、という点が離島に共通する問題点です。
八丈島で地熱発電が稼働していた際は、島内電力需要のうち約25%を賄っており、八丈島の電力供給の一翼を担ってきました。現在、八丈町ではオリックス株式会社と地熱発電利用事業に関する協定を締結し、新たな地熱発電所の運転開始を目指しています。
旧八丈島地熱発電所
「クリーンアイランドを目指す町」
八丈町では、まちづくりの指針となる「八丈町基本構想」の指標の一つとして「クリーンアイランドを目指す町」を掲げています。八丈島の美しい自然環境や景観は、町民や八丈島を訪れた人の心と体を癒すだけでなく、自然エネルギーとして無限の恩恵をもたらす可能性を秘めています。また、2013年には地域の固有資源である再生可能エネルギーを核にした魅力あるまちづくりを目指し「八丈町地域再生可能エネルギー基本条例」が制定されています。
島内には、地熱発電事業以外にも再生可能エネルギーに関する取り組みを積極的に行う事業者の方や、様々なアイデア、意欲を持っている方が多くいらっしゃいます。太陽光発電や風力発電、蓄電池等を島の産業や地域課題と結びつけて活用していこうという動きも多くみられます。
長年、再生可能エネルギーを活用してきた八丈島では、その活用に関して様々な成果と課題が見えてきており、その中には未来へ繋がるヒントがたくさんあると考えています。「クリーンアイランドを目指す町」として、今後も島にとって、住民の方々にとって最適なエネルギーミックスを模索し、地熱発電を核とする再生可能エネルギーの自給率向上に取り組んでまいります。
この記事の著者
八丈町役場
八丈町地域おこし協力隊 鈴木 綾
令和4年度より八丈島に移住し、八丈町地域おこし協力隊として活動を開始。再生可能エネルギー活用地域経済活性化・発展のための活動をミッションとして活動中。
令和4年度より八丈島に移住し、八丈町地域おこし協力隊として活動を開始。再生可能エネルギー活用地域経済活性化・発展のための活動をミッションとして活動中。
コメントを投稿するにはログインしてください。