茅野市の概要
茅野市は、八ヶ岳の裾野に広がる人口約55,000人の高原都市です。天竜川水系の最上部に位置し、市役所の標高は801mと、市役所の中では日本で一番高い場所に位置します。夏は湿度が低く過ごしやすい一方、冬は「凍みる」と言われる厳しい寒さになります。この寒さを利用して作られる、凍み豆腐や寒天などの保存食は、この地域ならではの食文化です。また、縄文時代から栄えた地であり、国宝「縄文のビーナス」や「仮面の女神」が出土した遺跡等が多数あり、豊かな歴史文化も茅野市の風土を形作っています。四季折々の雄大な自然と、古くから受け継がれてきた暮らしの知恵が共存する場所です。
茅野市ゼロカーボン戦略
茅野市は、地球温暖化対策として令和6年8月に「茅野市ゼロカーボン戦略」を策定し、2050年までに温室効果ガスの排出を実質ゼロにすることを目指しています。この戦略は、市民・事業者・行政が一体となって取り組むこととし、地球温暖化に伴う気候変動の影響による災害の増加などを背景に策定されました。寒さ厳しい茅野市の冬は-10℃以下になることも多々あり、温暖化歓迎とまでは言わないまでも、脱炭素については自分事として考えてもらえないのが現実です。
そこで「茅野市ゼロカーボン戦略」の第1の取り組みとして環境教育を掲げました。地球温暖化がもたらす生活への影響を学校から発信し、家庭や地域へと広げていく取り組みです。これには市民環境団体である「茅野市地球温暖化対策地域協議会」の皆さんに協力をいただき、行政と両輪となって地球温暖化対策を進めていこうと考えています。
また、策定にあたっては2050年を茅野市の幹部として迎える、現在の若手職員を中心に検討委員会を設置し、現状把握から取り組み対策まで議論を行い戦略に入れ込みました。真剣に議論を行う中で脱炭素の意義や、自分の役割を確認する機会となり、今後の行政の中での課題や、様々な施策の中に生かしてもらえるものと思われます。
さらに「八ヶ岳西麓地域共生会議」を茅野市・富士見町・原村の周辺三市町村で組織し、森林整備や環境教育等に関して連携する体制をとり、脱炭素を広域的な共通課題として取り組んでいます。生活圏を共にする小さな自治体にとっては協働することにより余力を生み出し、効率よく脱炭素に取り組むことが出来ます。今後、全国の小規模自治体のモデルケースとなるような取り組みとしていきたいと考えます。

■ 御射鹿池(みしゃかいけ)
こんなに美しい池ですが、実はこれは農業用のため池で、冷たすぎる八ヶ岳の水をお日様に当てて稲作に利用するために、昭和の初めにつくられたものです。 池の水は今でも麓の笹原地区で大切に利用されており、池の周囲も笹原の人たちによって整備されています。今では茅野市を代表する観光地の一つとなっています。
この記事の著者
茅野市
ゼロカーボン推進室 鷹野 鉄也
昭和63年茅野市役所入庁
博士(学術)。東京大学先端科学技術研究センター連携研究員。
令和4年度~6年度 ゼロカーボン推進室長。令和6年8月「茅野市ゼロカーボン戦略」策定に従事。
昭和63年茅野市役所入庁
博士(学術)。東京大学先端科学技術研究センター連携研究員。
令和4年度~6年度 ゼロカーボン推進室長。令和6年8月「茅野市ゼロカーボン戦略」策定に従事。