再生可能エネルギーと地域の共生を目指すFOURE(一般社団法人再生可能エネルギー地域活性協会)では、地域における再エネ導入の事例や先進的なエネルギー技術に関する知見を深めるため、年に数回、会員向けに事業地の視察イベントを実施しています。
今回は、2025年7月3日(木)・4日(金)に大阪市視察ツアーを開催し、当協会の会員である大阪市環境局を訪問するとともに、「大阪・関西万博」の会場を視察しました。
大阪市環境局訪問
大阪市環境局訪問では、大阪市やツアー参加企業の他、オンラインにて市川市にもご参加いただき、脱炭素先行地域や地域共生に関する意見交換を行いました。
大阪市と市川市は、それぞれ2023年と2025年に脱炭素先行地域に採択されており、個別に抱える課題を克服しつつ独自のアプローチで地域への再エネ導入を力強く推進していこうとしています(当協会は両地域において共同提案者として参画)。
【ご参考】当協会プレスリリース
・大阪市における脱炭素先行地域(第4回)について
・市川市における脱炭素先行地域(第6回)選定について
意見交換会では、まず大阪市および市川市から脱炭素先行地域の取り組みについてご紹介いただきました。
大阪市では、中心市街地である御堂筋エリアの再エネ化を進めるため、当協会の会員である株式会社まち未来製作所と連携し、再エネ設置適地の自治体に裨益しながら再エネ電気を調達するスキームを構築しようとしています。
【ご参考】
・大阪市HP「地域間連携による再生可能エネルギーの活用の取組」
・株式会社まち未来製作所HP「e.CYCLE OSAKA」(プロジェクト特設サイト)
また、市川市では、既存の賃貸集合住宅が多く集まるエリアにおいて、賃貸集合住宅の断熱改修による省エネと、屋根上への太陽光発電設備の設置による創エネを推進しようとしています。さらには、郊外エリアの遊休地等を活用した太陽光発電所の開発や、再エネ電力供給を目的とした新電力を立ち上げており具体の供給開始に向けて準備を進めています。
【ご参考】
・市川市HP「脱炭素先行地域について」
そして、大阪市と市川市からの発表に続き、参加企業各社からも地域共生に関する取組事例が紹介されました。また最後には、地域間連携実現に向けた必要性や乗り越えるべきハードルについてディスカッションが行われました。

<事務局感想>
意見交換会では、自治体、発電事業者、アグリゲーター、小売電気事業者、金融事業者など様々な立場の方々の取り組みやご意見をお伺いすることができました。立場は異なっていても、再エネ推進や地域共生に対する想いや課題感には多くの共通点があり、自治体と民間事業者、および事業者同士で連携することの重要性を改めて認識することができました。
万博視察
大阪市環境局を訪問した翌日には、大阪・関西万博を視察し、近未来の暮らしや社会のあり方、先進的なエネルギー技術の実証展示などを見学してまいりました。
訪問させていただいたパビリオンは以下の3つです。
・ガスパビリオン
・PASONA NATUREVERSE
・日本館
なおガスパビリオンの団体予約については、当協会会員企業である大阪ガス株式会社様にご協力を賜りました。心より感謝申し上げます。
以下では、簡単に各パビリオンのご紹介をさせていただきます。
■ ガスパビリオン
日本ガス協会が出展する本パビリオンは、XRゴーグルを使った仮想現実体験を通して、エネルギーや環境について楽しみながら学べるパビリオンです。
展示の中では、CO₂を再利用してe-メタンとして循環させるメタネーション技術の紹介が行われています。ガスのカーボンニュートラル化を目指すこの技術は、「社会も人も“化ける”ことで、めぐる未来へ進化していく」というメッセージとともに発信されています。
水素や再エネなどの脱炭素技術に加え、エネルギーを通じた人と人とのつながりにも焦点が当てられており、未来のエネルギー社会像を、臨場感をもって学ぶことができました。

(特設サイト:
こちら)
■ PASONA NATUREVERSE
「人を活かす」を理念とするパソナグループが手がける本パビリオンでは、自然と共生する豊かな未来社会の姿が描かれています。
展示では、宇宙の歴史やいのちの進化を表現したアート作品「生命進化の樹」や、iPS細胞や、既に実用化されているiPS心筋シートの展示、「未来の眠り」や「未来の医療」の体験展示などがあり、生の尊さと技術の可能性を実感できる構成となっていました。
自然との関わりや生命について立ち止まって考えさせられる、非常に印象深い展示です。

(特設サイト:
こちら)
■ 日本館
日本館は日本政府が出展する公式パビリオンで、会場内で発生したごみを微生物の力で分解し、バイオガスとして再利用するエネルギー循環システムが組み込まれています。
そして、バイオガスプラントを中核に、「Plant Area」「Farm Area」「Factory Area」の3エリアで構成され、それぞれのエリアで微生物や藻のポテンシャルを活用した「分解」「生産」「再利用」の資源循環のサイクルを体感できます。
資源やいのちの持続可能なつながりを起点に、日本の自然観や美意識についても触れられる展示となっています。

(特設サイト:
こちら)
<事務局感想>
万博では、「脱炭素」や「自然との共生」が主要テーマとして掲げられており、非常に多くの刺激を受けることができました。
視察した各パビリオンでは、人類や地球環境が直面する深刻な課題、そしてそれを乗り越えるための最先端テクノロジーなどが紹介されており、いずれも強く心に訴えかける内容でした。
また、ペロブスカイト太陽電池やEV・自動運転バス、水素サプライチェーンモデルなど、会場の至るところで先進的なエネルギー技術の実証も行われており、未来社会についての具体的なイメージや期待感を抱かせる場になっていたと思います。

以上、今回の視察ツアーでは、自治体や企業がそれぞれの立場で再生可能エネルギーの導入・活用に取り組む現場を間近に見ることができ、持続可能な社会の実現に向けた新たな視点や技術の可能性を感じることができました。
また多様な立場の方々と意見を交わす機会も多くあり、多くの気づきや刺激を得ることができました。
FOUREでは今後も、こうした視察や情報交換の機会を通じて、地域とともに歩む再生可能エネルギーのあり方を考え、広げていきたいと考えています。
この記事の著者
FOUREメディア編集部
FOUREメディアサイトの運営を行っています。
再エネに関連するイベント、ニュースや地域共生トピックの情報、コラムなどを発信しております。
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