FOURE SUMMIT 2025を振り返って
FOUREメディア編集部

2025年11月18日に、当協会が主催する「FOURE SUMMIT 2025」が開催されました。テーマとしては「伝わる再エネ、広がる共感」を掲げ、国・地方自治体、そしてFOURE会員の皆さまから、再生可能エネルギー分野における現在の取り組みと今後の展望について共有されました。

目次

    初めに、代表理事の西田より、FOUREのこれまでの歩みと理念について説明がありました。2021年に5社で発足したFOUREは現在55団体へと拡大し、地域と共に歩む再エネの実現に向けて活動を広げてきたことが紹介されました。


    サミットは全5部構成で、第1部では環境省 大臣官房 地域脱炭素政策担当参事官室参事官補佐の服部弘様より脱炭素社会の実現に向けた国の取り組みに関する基調講演を頂きました。近年強まる再エネへの否定的な風潮を踏まえ、国としてどのように対応していくのかが説明されました。再エネの本来の役割は地域の暮らしを支えるものであり、その価値が十分に伝わっていない点が課題であると述べられました。また、住民が“自分ごと”として再エネを捉えられるよう、政策や支援のあり方について問題意識が示されました。講演の最後には、再エネに対する逆風が強まる中でも国として迅速に対応していく姿勢が示され、現場の声を踏まえながら施策を進めていく考えが共有されました。こうした指摘を受け、日常の中で再エネを身近に感じる機会は多くないこともあり、再エネの価値が十分に伝わっていない側面もあるのではないかと感じました。


    第2部では市川市 市長公室カーボンニュートラル推進局企画調整課課長 高浜伸昭様より脱炭素先行地域の取組みについてお話しを頂きました。まず、脱炭素先行地域の選定にあたっての体系を具体例とともに紹介されました。市川市は千葉県の東京寄りに位置する住宅都市であり、妙典・下妙典エリアを対象としたモデル事業の概要が紹介されました。同エリアは賃貸集合住宅が多く、ファミリー向け住戸が多数を占めること、また若年層の流入がある一方で、子育て期に隣接市へ転出する傾向が見られることが説明されました。住民アンケートの結果として、断熱性能や設備への不満が一定数存在し、住宅性能が改善されれば当該地域に長く住みたいと考える住民の方が多いことが示されました。こうした課題を踏まえ、既存住宅断熱改修、太陽光発電・蓄電池設置、高効率空調・高効率給湯器、新築集合住宅(ZEH-M)の整備など、複数の施策を組み合わせて地域全体の脱炭素化を進める方針が説明されました。

    あわせて、市川市が地元エネルギー会社や金融機関等と共同で新電力会社を設立し、クリーンセンターの廃棄物発電や市外再エネ電源を活用した電力供給体制を整備していることが紹介されました。今後はFOUREを含む複数の企業・団体と連携し、地域の脱炭素化と住環境改善を一体的に推進していく方針が説明されました。

    本講演を通じて、脱炭素の取組みが単なる環境施策にとどまらず、住環境の改善や定住促進といった地域課題の解決にもつながるものであることを実感する講演となりました。今後、FOUREをはじめとする多様な主体との連携によって、こうした取組みがさらに広がっていくことが期待されます。


    第3部では東急不動産株式会社 インフラ・インダストリー事業本部ユニット インダストリー事業本部 開発企画部 基幹産業拠点推進室 室長石井拓也様より、同社が全国で推進する産業まちづくり事業「GREEN CROSS PARK」についてご紹介いただきました。GX・DX・まちづくりを掛け合わせ、全国各地で進む具体的なプロジェクトを通じて、地域課題と産業振興の両立を目指す姿勢が印象的で、産業まちづくりが地域課題の解決につながっていく可能性を感じました。


    第4部ではFOUREが取り組んでいる協会活動の一つとして、「ふるさと納税を活用した地域活性策」について紹介致しました。今年8月からは大手ふるさと納税サイト「さとふる」と連携し、通年での寄付を受付開始。懇親会では5自治体からの商品の試食コーナーも用意し、FOUREふるさと納税への寄付協力を行いました。


    最終の第5部では、「メディアによい再エネをとりあげてもらうには?」と題したパネルディスカッションが開催。進行役に一般社団法人Media is Hope 共同代表の西田吉蔵様を迎え、ゲストとしてSNSメディア関係者である、TOMOSHI BITO株式会社代表取締役廣瀬智之様と環境系Youtuber WoWキツネザル様、さらにFOURE理事4名の計6名で再エネ事業者が直面する評判悪化の問題に対し、情報発信の課題と解決策について多角的な視点から意見が交わされました。

    まず、再生可能エネルギーを取り巻く情報環境について議論が交わされました。再エネ分野では否定的な報道やSNS上の批判が目立ちやすい一方で、地域と連携しながら着実に進められている良質な取り組みも数多く存在しています。しかし、そうした事例が十分に伝わっていないことが情報の偏りを生む一因となっているとの指摘がありました。この点について、多くの人は再エネに「無関心」なのではなく、実際には「未認知」の状態にあるのではないか、という見解が示されました。情報が届くことで行動や意識が変わる人も少なくなく、再エネ分野にはまだ大きな可能性が残されていることを改めて感じさせられます。
    また、再エネ事業を進めるうえでは、技術的な説明だけでなく、地域住民との対話や信頼関係の構築が欠かせないことも共有されました。現場で地域と向き合い続ける姿勢こそが、事業を支える基盤になるという声が印象に残りました。
    さらに、「伝え方」の重要性にも話題が及びました。正しさを一方的に伝えるのではなく、「誰に、どのような言葉で届けるのか」を考えることが、共感を生む発信につながるという指摘は、SNS時代ならではの示唆に富むものでした。
    終盤では、「よい再エネ」を社会に広げていくためには、事業者やメディアだけでなく、それを受け取り、応援する私たち一人ひとりの関与も欠かせないことが確認されました。日々の小さな反応や発信の積み重ねが再エネへの理解と評価を少しずつ育てていくのだと感じる時間となりました。


    最後に会場参加者による懇親会が行われ、参加者同士が意見を交わしながら交流を深める中、FOURE SUMMIT 2025は盛況のうちに幕を閉じました。

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    FOUREメディア編集部 事務局
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    再エネに関連するイベント、ニュースや地域共生トピックの情報、コラムなどを発信しております。
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